人吉ではすっかり寝坊をしてしまった。朝日がそのまま顔に差してきて眩しくて目が覚める。急ぎ足で徒歩15分のところにある「人吉別院」を目指す。人吉はこの辺りではちょっとした繁華街なのだがさすがにこの時間はまだ人通りも少ない。ちょうど歩いていたおばさんに道を尋ねる。笑顔で気もち良く応えてくれた。熊本の人は本当に気持のいい人が多い。
道の途中にふとたたずむ、何も知らなければそのまま通り過ぎてしまいそうな、そんな場所に「人吉別院」はあった。一見良くありそうなごく普通のお寺にも見える。山門をくぐると正面にそびえる本堂。境内もここ最近見た中では一番小さいと言えるかもしれない。
早速本堂にあがらせていただいてご本尊を拝む。「ん?」ごく普通のお寺にはない、ずっしりした何かを感じた。それもそのはずである。ここは「隠れ念仏」と言って幕府の弾圧から逃れてひっそりと念仏を唱え、多くの殉教者を出しながらも信仰の火を絶やさなかった先人が残した、由緒正しい浄土真宗の寺院なのである。
大きくはなくていい。立派でなくてもいい。信仰の火が絶やされなければそれでいい。先人のそんな願いが込められているんだろう。確かに感じた「何か」は、きっと先人の強い信仰心だったのかもしれない。
人吉でお土産の焼酎を買い、静岡への帰路につく。終わってみれば、あっという間の旅立った。
最初は気分転換に。と思って初めた旅だったが、気づけば人生も転換させられてしまいそうな、様々な出会いと刺激の強い旅に変わっていた。
日蓮宗のお坊さんが他宗のお寺を回ることに賛否両論はあるかもしれないが、終わってみて言えることは、お坊さんだからこそ、お互いに他宗のお寺を見てほしい。必ず坊さんとして生きるヒントが見つかるはずである。
また一般の方にも「百寺巡礼」おすすめです。次の長期休暇に、ぜひ挑戦してみてください!

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